【指導上の遵守事項】 自職種の役割と責任の範囲・限界を正確に理解すること。指示書の範囲を超える行為、自分の力量を超えた手技を独断で行うことは厳禁。「できると思った」で実施し、事故を起こすことが最も危険である。できないこと・自信のないことは、必ず申告し、指導を受けてから実施する。
7-A 看護師向け
7-A-1 在宅での主な医療処置
在宅では病院と設備が異なるため、限られた環境での安全な手技が求められます。
- 褥瘡(じょくそう)ケア:評価(DESIGN-R等)、洗浄・処置、除圧・体位・栄養を含む包括的アプローチ。
- カテーテル管理:膀胱留置カテーテル、胃ろう・経管栄養、CVポート等の管理と感染予防。
- 在宅酸素療法(HOT):機器管理、流量確認、火気の安全指導。
- 点滴・注射・輸液:指示書に基づく実施、清潔操作、副作用観察。
- 人工肛門・人工膀胱(ストーマ)ケア:装具交換、皮膚トラブル対応、セルフケア支援。
- 吸引・呼吸器管理:気道クリアランス、機器トラブル対応。
7-A-2 服薬管理・医療的ケアの指導
- 服薬状況の確認(飲み忘れ・重複・自己中断)、一包化やカレンダーの活用提案。
- 本人・家族が自分で続けられるための指導・工夫。
- 副作用・相互作用の観察と主治医・薬剤師への連携。
7-A-3 病状観察とフィジカルアセスメント
- バイタルサイン、全身状態、症状の経時変化を観察。
- 「いつもと違う」に気づく力。早期発見・早期対応が重症化を防ぐ。
- 得た情報を、判断・報告につなげる。
7-A-4 主治医への報告・指示受けのポイント
- 簡潔・正確に(SBAR:状況・背景・評価・提案 の枠組みが有効)。
- 緊急度を明確に伝える。指示は必ず記録し、不明点は確認する。
- 指示書の範囲を超える対応はしない(必要なら指示を仰ぐ)。
7-A-5 精神科訪問看護の基礎
- 精神科訪問看護指示書に基づく訪問。服薬支援、生活リズム、症状観察、対人関係支援。
- 傾聴と信頼関係の構築、危機時(自傷・他害リスク)の対応と連携。
- 本人のペースを尊重し、回復(リカバリー)を支える視点。
7-A-6 小児・難病・医療的ケア児
- 成長発達に応じた支援、家族(特に親)への支援が重要。
- 医療的ケア児:人工呼吸器・吸引・経管栄養等の管理と、就学・きょうだい支援など生活全体の視点。
- 難病:進行に応じたケアの見直しと、多職種・行政との密な連携。
7-B リハビリテーション専門職向け(PT・OT・ST)
7-B-1 訪問看護における「看護の一環としてのリハ」の位置づけ
訪問看護ステーションからのリハビリは、看護の一環として提供されるものです。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が「訪問看護の一環」として訪問し、看護職と連携してケアを行う、という枠組みを正しく理解することが重要です。指示書・計画・報告も看護と一体で運用されます。
7-B-2 生活期リハビリの考え方
- 病院の回復期とは異なり、在宅は生活期。目標は「機能回復」だけでなく生活の中で“できる”を増やすこと。
- ADL(日常生活動作)/IADL(手段的日常生活動作)の維持・向上。
- 本人の役割・楽しみ・社会参加を支える視点。
7-B-3 住環境評価・福祉用具・住宅改修
- 段差・手すり・動線・トイレ・浴室などの環境評価。
- 福祉用具(車いす、歩行器、ベッド等)の選定・調整助言。
- 住宅改修の提案(手すり設置、段差解消等)とケアマネ・事業者連携。
7-B-4 リスク管理(運動負荷・中止基準)
- バイタル確認、運動負荷の設定、中止基準(アンダーソン・土肥の基準等)の遵守。
- 転倒・骨折・急変リスクへの配慮。既往・服薬・全身状態を踏まえる。
- 「リハ中の異常」を看護職・主治医へ確実に報告。
7-B-5 看護師との連携・情報共有
- 皮膚・褥瘡・浮腫・服薬・全身状態の気づきを必ず看護職へ共有。
- 一体的なケアのため、計画・目標を看護と擦り合わせる。
- 記録・報告書は看護と連動させる。
7-B-6 リハ職に関する制度上の留意点
- 訪問看護からのリハ提供には、回数・提供体制などの制度上のルールがあり、改定で見直されることがある。最新告示・事業所ルールを必ず確認。
- リハ職は人員基準上の看護職員には算入されない点を理解する。